SWEET HOUSE



【前編】

 モブリズで双子を出産して半年。そっくりの赤ちゃんの体重は、産まれたばかりの時は400gの差があったのに同じぐらいになった。
 7ヶ月近く放りっぱなしにしていたコーリンゲンの家を掃除したりして住めるよう準備してきたロックが、セッツァーの飛空艇に乗って戻ってきた。
 明日には、家族揃ってモブリズを経つ。だがすぐにコーリンゲンには向かわず、かつての仲間達の元へ顔を出して回って帰る予定だ。
 子供が産まれたことは手紙で連絡してあるが、やぱり直接会って可愛い双子を見せてあげたかった。リルムなどは大騒ぎしてくれるだろう。
 そう。最初に向かうのはリルムとストラゴスのいるサマサだ。セッツァー曰く「会う度に生意気になる」だそうだが、それはセッツァー相手だからだろう。
 それからドマ、フィガロと訪れる。ナルシェのモグにも会いたいのはやまやまだが、あの寒い山の中に乳幼児を連れて行くのは断念した。
「また遊びに来てね!」
「元気で!」
 モブリズの住人総出で見送りをしてくれ、セリスはとても心が温かくなる。
「本当に色々ありがとう」
 深々と頭を下げたセリスに、ティナは目を潤ませて告げる。
「また手紙書くから、セリスも書いてね」
 戦っていた頃は、そんなに仲良かったとは言えなかった。腹を割って話したりしたことすらなく、仲間ではあっても友達とは言えなかった。でも、戦いが終わり離れて暮らすようになって、手紙のやりとりをしていたせいか、いつの間にか親友になっていた。
「勿論よ。ティナも無理しないでね」
「ええ。……フィガロに行った時は、エドガーによろしく。あ、勿論、皆にも」
 付け加えられた言葉に、セリスとロックは顔を見合わせる。一応、ティナも気にしているのだろうか。
「そろそろ行くぞ」
 セッツァーに促され、ロックとセリスは足下に置いていた籠を取った。それぞれ、ロイとリラが入っている。
 飛空艇に乗り込むと、コール家5人はコーリンゲンを後にした。

  

 

in サマサ

「ひっさしぶり~!!!」
 サマサに到着すると、飛空艇に気付いたリルムが出迎えてくれた。
「じじいがさ、赤ちゃん、すっごい楽しみにしてんの。早く見せてあげて」
 土産と荷物を抱えたロックにまくし立てながら、飛空艇から赤子を入れた籐籠を下げて降りてきたセリスに駆け寄る。
「うっわ。可愛い~~~! 双子なんでしょ? こっちは女? 男?」
 籠の中にはピンクの毛布にくるまれた赤ちゃんが眠そうな目でリルムを見上げていた。ぽよぽよとした髪の毛は濃いブロンドに見えるが、ロック似ともセリス似ともまだ言えない。綺麗なアクアマリンのような水色の瞳はセリス譲りだ。
「女の子よ。お姉さんの方でリラ」
 自分の子供が可愛いと言われて嬉しくない母親はいない。セリスは満面の笑みで答えると、セッツァーを振り返った。
「あっちが男の子。ロイ」
 ロックが荷物を持っているせいで、ロイの籠を持っているのはセッツァーだ。
「あははは! セッツァーが赤ちゃん持ってる! 似合わない~!!!」
 大騒ぎのリルムに、セッツァーはムスッとして一言、
「うるせえ」
 とだけ答える。
「やっぱりそっくりだね~」
 リラとそっくりの顔をしているロイだが、心持ち口元がロックに似て見える。
 二つの籠を見比べるリルムに、セリスは微笑みながらリオンを呼んだ。
「リオン。おいで」
 呼ばれて籠の横に立った幼い少年を、リルムはまじまじと見つめる。
「この子がリオン君?」
 手紙でリオンを引き取ったことも伝えてある。
「そう。可愛いでしょ」
 セリスはにこにこして言ったが、リオンの方は困惑顔だ。人見知りする質ではないのだが、リルムのうるささに圧倒されているのかもしれない。はたまた、セリスに『可愛い』と言われたことが複雑なのかもしれない。
「うん。でも、ロックの子になりたいなんて、物好きだね~」
 ついリルムが呟くと、リオンはムッとして言い返した。
「うるせえ! 父さんを馬鹿にするな!」
 その真剣な表情に、リルムは思わず吹き出してしまう。周りで見ていた大人三人も苦笑いだ。
「笑うな!」
「ご、ごめんね。ロックって、そんなキャラじゃなかったからさ。とりあえず、行こうか」
 リルムがリオンに手を差し出すと、リオンはプイッと横を向いた。小さくても男の子だ。『女に手を引かれて歩くなんて冗談じゃない』のだろう。
 差し出した手をやり場なさげに引っ込めると、リルムは肩をすくめて歩き出した。


「たっだいま~」
 リルムに先導され彼女の家へ入ると、ストラゴスが温かいお茶を入れて待っていた。
 軽い挨拶を交わすと、ストラゴスは待ってましたとばかりに赤子に目を釘付けにした。目を輝かせてしきりに「可愛いのう」を繰り返している。
 お土産で渡したアップルパイ──セリスがティナと二人で焼いた──を切り分けていたリルムは、
「じじいも年だねぇ」
 複雑そうな顔で呟く───ストラゴスもいつ老衰で亡くなってもおかしくない年だ。そんなリルムに気付かずに、
「わしも早くリルムの子がみたいぞい」
 ストラゴスはしみじみと漏らした。
「ぶはっ!!!」
 リルムは思わずアップルパイに顔を突っ込みそうになる。
「ちょっと、あたしまだ16だよ?」
「わしが若い頃は、16歳と言えば適齢期。かくゆうばあさんも、16でわしと結婚して、17でお前の母親を産んだぞい」
「むぅ……。そんなこと言われても、あたしのお眼鏡に適うような相手がいない~」
 大事な祖父であるストラゴスの願いを叶えてあげたい気はするのだろうが、安易にできるものではない。リルムが唸って悩んでいると、セッツァーが鼻で笑った。
「お前のお眼鏡に適う相手がいないんじゃなくて、お前と結婚してもいいなんて酔狂な奴がいないんだろ?」
「むっきーーーー! うるさい! フラれてばっかのあんたに言われたくない!」
 言い返したリルムの言葉を受けて、セッツァーのこめかみに青筋が浮かぶ。
 そんな二人を交互に見たストラゴスは、深い溜息を吐きだした。
「死ぬまでに曾孫が見られるなんて、難しいのかのぅ。ロックとセリスの子より、きっと可愛いのに」
 失礼な言葉のような気もするが、ストラゴスがどれだけリルムを愛しているか知っているから、ロックもセリスも微笑んでいた。


 不機嫌になったリルムとセッツァーを無視して、アップルパイを食べていると、突然リラがぐずりだした。
「あ、お腹減ったかな?」
 フォークを置いて立ち上がったセリスは、おむつが濡れていないことを確かめるとリラを抱き上げた。
 籠近くのソファー座り直すと、シャツをはだけて胸を出した。皆が注目していたけれど、不思議と恥ずかしくない───母親になるってすごいとセリス自身も思う。
「んくっんくっ」と一生懸命お乳を飲み込むリラを、セリスは優しげな表情で見つめる。
 それをじっと見つめているセッツァーに気付いたリルムは、
「ちょっと、いやらしい目で見ない」
 などと失礼なことを言った。セッツァーは呆れたような横目でちらりとリルムを見ると、
「アホ」
 一言言い捨てる。更に噛みつこうとしたリルムだが、先にセッツァーが続けた。
「あの剣振り回して肩肘張ってたセリスがさ、母親だぜ? 女って、子供が産まれると本当に変わるよな」
 しみじみと呟く。元々女らしい部分もあったセリスだが極力それを見せないような態度をしていたから、自然に赤子を慈しむ姿に思わず顔が綻ぶというものだ。
 だがやはりセッツァーはセッツァーだ。
「お前は子供ができても変わらなそう……その前に、相手がいねーか」
 余計な一言を付け加えてしまうのだった。

5月28日
 リルムは本当に相変わらず。でも、変わらないって安心できることかも。反抗期とかってなかったのかしら? でも普段から生意気だから変わらないのかな。
 セッツァーとは本当に口喧嘩ばかり。リルムがムキになるのはわかるけど、セッツァーもあんなに意地悪ばかり言わなくてもいいのに。 それともわざと? からかうと楽しいのはわかるけど……セッツァーって意外に子供っぽいのかしら。
 でも、ちょっと似合いだと思う。年が離れすぎてるかな。あの二人はどうなんだろう? ちょっと気になる。
 ストラゴスは元気だったけれど、やっぱり年なのかしら。「曾孫が見たい」なんて、リルムにはプレッシャーをかけてた。
 明日にはドマへ向かう。ガウは変わってないかしら? かなり復興が進んだということだから楽しみだ

 

 

in 飛空艇

 二人分のおむつを変えたセリスは、ふかふかの絨毯に寝転がっているリオンに話しかけた。
「ごめんね。色々連れ回して」
「ううん。フツーなら乗れない飛空艇乗れるし、色々なところ行けるし、やっぱすげーな」
 声をかけられたリオンは、リルムからもらった絵本から顔を上げてニカッと笑った。
「そうね。飛空艇に乗せてもらえるのは、運がいいわよね」
 最初、リオンを紹介した時にセッツァーがした反応を思い出す。
「ロックに憧れたぁ? はっ」
 そう言って鼻で笑ったのだ。飛空艇で空を駆け回る自分の方がかっこいいと言いたかったのだろう。だがリオンに「おっさん」なんて言われて黙り込んでいた。
「母さん達、あのケフカと戦ったんだよな?」
 その話は色々と聞かせた。ちょっと話したら根ほり葉ほり尋ねられたのだ──好奇心旺盛な子供だから当然のことだろう。
 セリスが帝国の将軍であったことも話して聞かせた。養子になるというのなら、子供だと言ってもわからないなりに知っておいた方がいいと思ったからだ。
「そうよ」
「あの、リルムとかいう女もだろ?」
「ええ。確か、11歳とかだったんじゃないかしら。出会った時はまだ10歳かな」
 今と違って引っ込み思案だったリルムを思い出す。小柄な少女は本当に可愛らしいと思ったのだが、打ち解けるとまったくもって別人のようだった。
「10歳で戦ったりしてたのか……」
 自分と比べているのだろう。そんなリオンを可愛いと思いながら、セリスは当時のリルムの様子を話して聞かせることにした。

 

 

in ドマ

「二人とも可愛いでござるな」
 ドマではカイエンとガウが歓迎してくれた。
 二人とも城で暮らしているため、城の応接間に通されている。
「ガウ! そっくり! ロックに似てる?」
 はしゃぐガウに、リオンは戸惑っている。
 まったく、かつての仲間達は皆いい人ばかりだけど何分キャラが濃すぎるわ───セリスは内心で苦笑いする。
「そうでござるな。目の色はセリスだけど目尻がロックに似ているでござるな」
 カイエンは嬉しそうにうんうんと頷いてくれる。
 かつて、セリスを信用できず帝国の将軍として殺そうとした過去があるなど嘘のようだ。
「でも、大人になるとまた変わるしなぁ。俺も小さい頃は母親似って言われてたけど、大人になって年を追うごとに親父に似てきてる気がする」
 ロックはがしがしと頭をかいた。
「そうでござるな」
 うむうむと頷いたカイエンは、ドマの名産である饅頭を飲み込むとロックを見た。
「母親は大変でござる。しっかりささえるでござるよ」
「わかってるよ。俺、そんなに頼りなく見えるかぁ?」
 ロックのボヤきに、カイエンは微笑んで首を横に振った。
「そうじゃないでござる。拙者は、武士として我が王に仕え続けた。結果、子育ては妻にまかせっきりであった。今考えると、一人でよく頑張ってくれたと思う。文句を言ったこともなかった。
 拙者は家族を大事に想っていたけれど、時間をかけて何かをしてやることはできなかったでござる───無論、戦争があったのだから仕方がないのだが。
 だが、後悔してからでは遅い───ロックが後悔するようなことをするはずがないのであったな」
 後悔しつくしてきた男だからだろう。そんな風に言われてしまうと、ロックも困ってしまう。
 その時に気付かないことだからこそ、後悔へ繋がるのだ。いくら後悔をしないよう生きても、後で気付き悔いるのが後悔なのだから。───

5月30日
 久々にドマに来た。皆のところを巡って顔出すセッツァーから話は聞いていたけれど、本当に町並みが揃ってドマ特有の瓦屋根の家が並んでいた。
 カイエンは変わらず働き者。私達が訪れても、誰かが呼びに来ては仕事に戻ってた。
 ガウも相変わらず。純真なままで、でも、一体どんな大人になるのかしら? いつか誰かと恋に落ちたりするのかと思うと不思議だ。
 そういうことを想像して不思議なのは、三人の子供達もそう。リオンは「女になんかキョーミねーよ」とか言ってるけど、小さいのに硬派を気取ってるの。そういうところが余計に「可愛い」と感じちゃうのにな。でも、きっといい男になる。
 リラとロイは、まだまだ小さくて、どんな声で話すのかな、とかそんなことの方が気になってる。

 

 

in サウスフィガロ

 フィガロ城は砂漠に囲まれているため飛空艇が降りられない。普段なら砂漠の外から歩くのだが、赤ん坊を連れてというのは危険が大きすぎる。それを勘案して、マッシュとエドガーはサウスフィガロへ出てきたくれた。
 一年前まではマッシュはドマの再興を手伝っていたが、一段落して現在はエドガーを支えている。
「自分だけ好き勝手に生きてきたから、これからは兄貴を手伝いたい」
 そんなことを言っていた。
「ごめんなさい。わざわざ……」
 サウスフィガロ市長の屋敷──元はフィガロを裏切って帝国軍を手引きしたために追放された貴族の屋敷だった──で、セリスは心底済まなそうにした。
 平和になった世界は安定してきたとはいえ、一国の王に暇などそうそうあるはずもない。
「何言っているんだい? 大事な仲間に子供が産まれたっていうのに。それに、サウスフィガロの状態も自分の目で見ようと思っていたからね」
「そうそう。それに、兄貴は息抜きしたいんだよ。モブリズにも行けないしな」
 マッシュが口を出すと、エドガーは苦い顔になった。その話題はなかったことのように、笑顔を作ったエドガーは双子とリオンを見た。
「さて、紹介してくれるかい?」
「黄色い刺繍の服が弟のロイ、赤い刺繍の方がお姉さんのリラよ」
 絨毯に置かれた籠に跪いて、セリスは二人の額を撫でる。二人とも寝かしつけたばかりで安らかな寝顔をしている。
「で、俺の跡を継いでくれる息子リオン」
 ロックがリオンを抱き上げた。
「うわっ、やめろよ! 父さん!」
 子供扱いされたのが恥ずかしかったのだろうリオンは多少抵抗したが、ロックは笑ったままリオンを抱えている。
「そうか。わたしはエドガー。ロックとは長いつきあいをしている。往年の友というやつだ。よろしくな」
 名乗ったエドガーに、リオンはまじまじと彼を見つめた。フィガロ王ということは話してあったが、今日のエドガーは着飾っておらず簡素な旅装だ。
「おじさんが王様なの?」
「ああ。そうだ」
 優雅に頷いたエドガーは、お茶を入れているマッシュを振り返り、
「あっちは弟のマッシュ。君の妹達と同じようにわたし達も双子なんだ。似てないと言われるがね」
 マッシュを紹介した。ティーポットを置いたマッシュは、
「よろしくな。これでも昔は似てたんだよ」
 肩をすくめて豪快に笑う。
「父さん、王様が友達なんてすげーな! 俺、嘘かと思った」
 素直に感嘆するリオンに、ロックは頬ずりをしてあげる。
「うわっ、チクチクする!」
 無精ひげが気になるのだろう。顔を背けるリオンが可愛くて、だけど嫌われるわけにはいかないとロックはリオンを下ろした。
「だぁ……」
 小さな声に、セリスはロイを見た。大声で話していたせいか目覚めてしまったのだろう。抱き上げて身体を揺らしながらあやす。
「とりあえずお茶でも飲もう」
 エドガーに促され、セリス以外は広い客間のソファーに腰掛ける。
「しかしいきなり二人は大変だろう。しばらくトレジャーハンティングは休業か?」
 マッシュが大声で尋ねた。豪快なのはいいが、セリスの腕のなかでロイがびっくりしている。リラまで目覚めたら、さらに泣き出されたりしたら大変だ。
「マッシュ、もう少し声を落としてよ」
 呆れ顔で注意すると、「すまんすまん」悪びれずに答える声も大きい。それを見ていたロックは呆れ顔になって答えた。
「あんまり考えてない。まあ、暮らしていけるぐらいの蓄えはあるしな。やりたくなったらまたやるさ。今は、家族と過ごしたい」
「……うらやましいことだな」
 エドガーがしみじみと呟いた。
「ん?」
 全員がエドガーに注目する。作った笑顔でなく困ったようにはにかんだエドガーは、
「愛する人が傍にいて、守ろうとすることができる。うらやましいことだ」
 儚げに呟いた。
「兄貴……」
 悲しそうな表情になったマッシュに、エドガーはいつもの茶目っ気たっぷりの顔に戻ると、
「無論、愛する弟が傍にいてくれるのは何よりも嬉しいさ。ただ、わたしが守る必要があるかどうかは微妙だ」
 体格からしてマッシュの方がゴツい。多少の護身術が使えると言っても武器がなければ戦えないエドガーに比べて、マッシュは「守ってもらう」必要性は少ないだろう。無論、マッシュに何かあった時は全てを忘れて守ろうとするに決まっているが。
 エドガーの言葉に、皆、苦笑いを浮かべた。微妙な空気が漂ったのを払拭しようと、エドガーはセリスを見る。
「ロイ君、だったかな? 落ち着いたようだし、わたしに抱かせてもらえるか?」
 エドガーの申し出に、セリスは目をパチクリさせてから、
「ええ、勿論」
 笑顔でロイを渡した。
 首が据わっていないロイを、エドガーは慎重に受けとってその腕に抱く。
「利発そうな子だな。……もし、わたしが誰とも結婚せず子がなかったら、この子をもらおう」
 ほくそ笑んで後継宣言するエドガーの冗談に、一同はギョッとする。
「ダーメ! 生きる道は自分で選ばせんだよ」
 ロックが軽く諫めると、エドガーは肩をすくめてマッシュにロイを渡した。
「わっ、小さい、な……」
 柔らかくやもすれば崩れ落ちてしまいそうな幼い身体を手にし、マッシュは戸惑う。巨体に小さな赤子を抱く姿に、リオンが思わず吹き出した。
 笑いは全員に浸透し、その勢いでリラが目を覚ましてしまう。セリスが慌てて抱き上げると、ロックが手を伸ばしてリラを受けとって立ちっぱなしだった彼女を座らせた。
「そうやっていると、父親だな」
 エドガーの言葉に、ロックは微妙な顔をした。
「どうせ、普段は俺自身が子供っぽいとか言うんだろ?」
「よくわかったな」
 ウインクして答えたエドガーに、再び笑いが広がり、ロックは複雑そうに肩をすくめたのだった。

6月1日
 皆に会えて本当によかった。人と人との繋がりの大切さを実感する。
 大きな罪を背負った私だけれど、そんな私から産まれた命を祝福してくれる人達がいる。
 あの時、帝国を裏切って本当に良かった。あの時は絶望的な気持ちでやったことだけど、あれ以上罪を重ねなくて本当によかった。
 リラとロイの顔を見ていると、私は赦されたのかもしれないという気がしてくる。

 でも、平和のために今でも忙しく奔走しているエドガーは大変だ。きっとティナに会いたいだろうに……。何もできないのが歯がゆいけれど、本人達の問題だから仕方がないんだろう。
 彼等も幸せになれるよう、祈ろう。

 

■あとがき■

 会社が繁忙期に入り隔週お届けになりまして、申し訳ありません。新連載、45454Hit リンさんのキリリク 『二人の子育ての様子』のお話です。
 子育てと言っても、子供がいくつの時にするかに迷いました。今回は、双子のお披露目w ちょっと「子育て」っぽくないけど最近他のキャラも出てきてないし、飛空艇で帰るついでだからやっぱり皆のところに寄ったりするだろうということで。
 本日のBGMはKinKi KidsのシングルセレクションⅡです。この二人って、歌うまいよね~w ツヨシの方がうまいけど、私は光ちゃんファンなのですが、CDで聞いてるとどっちが歌ってるのかたまにわからなくなる……;; 私って、そういう「聞き分けるセンス」とかないみたいなんです。歌のうまい下手ぐらいは多少わかるけど、楽器の上手い下手に至ってはさっぱり。ε-(ーдー)ハァ  あ、関係ない話ですみません。
 最近は、胸を出して外で子供におっぱい飲ませる人っていないですよね。以前はフツーに公園とかで見かけたものだけど。やっぱり変質者が増えたから? なんとなく、そういうのが恥ずかしいっていう認識が浸透した? っていうか、日本人ももう少しオープンになっていいんじゃないのかなぁ? 「はしたない」とか言うけど、「アンタが意識しすぎなのでは?」とか思うよね。海外行ったらもっとオープンなのが普通で気にならないわけだし……;; 年とっても人前でキスとかできる夫婦の方が、仲良く熟年離婚も減る思う~。ねえ?
 ところで、成長したガウが普通にしゃべるようになるのかどうか気になります。勿論、二次創作なのでそんなの私が決めていいのでしょうが……想像つかないんだもん。
 ドマ編は短いです。全体で余り長くなりすぎちゃうと、次回の長さとバランスとるのが大変になる(無理して長い話を書くことになる可能性がある)のでw (05.04.10)

【中編】

11月10日
 もうすぐリラとロイが3歳になる。
 最近は話す言葉もすごく多くなってきたんだけど、リオンの言葉遣いの影響のせいかなんだか生意気にも思える。まあ、可愛いけれど。
 リラはちょっと舌っ足らずだけど、一卵性双生児なわけじゃないから、似ていてもやっぱり違うのかな。リラのが甘えん坊だし。ロイはリオンの後にくっついて歩いてばかり。転ばないようにゆっくり歩いてあげるリオンは、本当に優しい。
 ロックはトレジャーハンティングの下見に行ったけど、明日帰ってくる予定。9歳になったリオンを連れて行ってあげるらしい。今までロックにもリオンにも随分、子育てを手伝ってもらったから、これからは頻繁に行ってほしいと思う

 子供達が寝静まった後、日記をつけていたセリスは羊紙皮の束を閉じると大きく伸びをした。
 毎日が充実している。いたずら盛りの双子がいるせいでゆっくりする暇は余りないが、それでも幸せだ。
「さて……」
 コキコキと首を鳴らしたセリスは、ベッド脇の籠から裁縫道具を取り出した。3歳の誕生日にプレゼントしようと思っているお揃いの服を作るためだ。あと三日しかないが、仕上げだけなので完成するだろう。
 リラにはパステルイエローに小花の散ったワンピース。小花の刺繍にはほとほと手を焼いたが、昔から考えるとかなり上達したと思う。
 ロイには水色のスモックと半ズボン。小花の代わりに小さな星を散らしてみた。
「喜んでくれるかなぁ」
 よくよく見ると、袖口が微妙に引きつれている部分があったりするが、子供はそんなこと気にしないだろう───と願う。
「よし、頑張っちゃおう」
 これを作っているせいで、最近睡眠時間が短いが苦にはならない。愛する子供のためなら苦労しても平気だろうと思ってはいたけれど、幸せな気分にすらなれてしまうなんて思ってもみなかった。
 小さな灯りの下で、袖口にバイアステープを縫い込み始めたセリスは、明け方近くまで作業を続けた。

 

†  †  †

 

「たっだいま~!」
 庭で洗濯物を干していると、背後から陽気な声が聞こえた。
「ロック!」
 声だけで誰だかわかる。セリスは瞳を輝かせて振り向いた。
「おかえりなさい」
 洗濯物を置いて駆け寄ると、ロックは優しい笑顔でセリスを抱き寄せた。
 セリスの後から、リオンがリラとロイを連れて駆け寄る───セリスが洗濯物を干している間、リオンが双子の相手をしていてくれた。
「いい子にしてたか?」
 セリスを離すと双子を抱き上げてリオンに尋ねる。
「うん。俺は悪いことしてないよ」
 悪いことをしていたと思ってた言ったわけではないのだが、リオンはキョトンとして答える。
「リラも~!」
「ロイも!」
 耳元で双子に叫ばれ、ロックは苦笑いを零した。
「元気そうでよかった」
「リラね、元気ぃ♪」
 そう言って頬ずりしてくるリラに微笑みかけながら、ロックは我が家に向かって歩き始める。
「リオン、お茶入れてあげて。私は洗濯物干しちゃうから」
「はーい」
 洗濯籠の元へ戻ろうとしたセリスに、頷いたリオンは玄関に向かって走りだした。
 相変わらず口が悪いが、出会ったときほどではなくなった。片意地を張る必要がないことに気付いたのだろうか。ロックもセリスも甘やかしているから───無論、悪いことをすれば怒るが、リオンは他愛ない悪戯をすることはあっても怒るほどの悪さはしない。
 セリスは急いで洗濯物を干し終えると、家族の待つ家に入った。
「はい、お母さん」
 待っていたとばかりに、リオンがマグカップを差し出してくれる。湯気のたつお茶にを受けとったセリスはそれをテーブルに置くと、
「んもう! リオン大好き!」
 血の繋がらない息子の可愛らしさに、リオンをギュッと抱きしめる。
 それを見ていた双子は、ロックの膝の上から降りると、
「リラもぉ!」
「ロイも!」
 足下を見ていないでセリスを真っ直ぐに見ているせいで、危なっかしい足取りでセリスに寄ってくる。
「勿論、リラもロイも大好きよ」
 ロイを話して双子を抱きしめる。
 それを眺めていたロックは、
「俺はぁ? なんだか、3人ともセリスのが好きみたいだ……」
 子供みたいなことを呟く。
 慌てて振り向いたリラとロイは、
「「パパも好きぃ!」」
 声を合わせて駆け寄って行く。なんて微笑ましいのかとセリスが笑みを漏らすと、リオンは困ったように突っ立っていた。
 昔はロックを慕って憚らなかったのだが、照れが出てきたらしい。
「リオンは行かないの?」
 顔を覗き込むと、心持ち頬を染めて、
「ガキと同じことなんかできないよ」
 肩をすくめた。これで「うるせぇ!」なんて言われてしまったらショック極まりないが、この答え方が可愛いからたまらない。
「そういえば、今日は遊びに行かないの?」
 セリスはリオンに尋ねた。リオンは6歳になった近所の男の子と遊びに行くのが日課だ。
「今日は父さんが帰って来る日だったから、行かないって言ってある」
 満足そうに答えるリオンは、こういうところがまた可愛いのだ。
「セリス!」
 ロックに呼ばれて顔を上げると、ロックは抱き上げていた双子を下ろして立ち上がった。
「俺、風呂に入っちゃうから」
「あ、はい。……じゃ、リラとロイも入れてあげてね」
 ちゃっかりと付け加えると、
「わかってるよ」
 優しい笑顔で頷いた。


「今度のトレジャーハントって、ロックが初めて行ったところなんでしょ?」
 夜、二人だけでテーブルで話をする。当たり前に傍にいる人になったけれど、何度見てもロックを素敵だと思い、セリスは幸せそうに尋ねた。
「以前、キノコ嫌いになったとかいうので聞いたところよね?」
「ああ。俺は6歳だったから、ちょっと遅くなったけどな」
 遅くなったというのは、次はリオンを初トレジャーハントに連れて行くための下見だからだ。
 去年も半年に一度ほど簡単なトレジャーハンティングには行っていたが、ジドールのオークションから依託された仕事だったのでリオンを連れて行ったことはない。この三年、少しずつ色々なことを教えてきたから、少しずつ簡単なものに連れて行ってやりたいと思っていた。
「しっかし、かなり地形が変わってて探すの苦労したよ。中が崩れてなかったのは本当に幸いだな」
「綺麗な遺跡があるんでしょ? 私も行ってみたかったなぁ……」
「……悪いな。お前にばっか子育て押し付けて」
 ロックは心底済まなそうに頭をかいた。セリスは慌てて頭を振って、
「ううん。ずっと、家で手伝ってくれたじゃない。リラとロイもいつか連れて行くんでしょ?」
「あー、んー、リラはどうだろうなぁ。行きたいって言ったらな」
「じゃ、その時は私も一緒に行くから」
 明るく前向きに言うセリスに、ロックははにかんで頭を抱えるとテーブルに突っ伏した。
「え? なに?」
 キョトンと目を丸くしたセリスに、変な呻きを漏らしたロックは呟いた。
「お前って、俺にはもったいねーぐらいできた女」
「え? はあ? 何言ってるのよ、いきなり」
 セリスは意味がわらかずしどろもどろだ。
「いい女すぎて、いつも、お前に惚れ直しっぱなしだってことだよ」
 さりげない口調で言ったがものの、耳が赤い。エドガーと違って天然で気障なところがあるが、そのくせ照れるから言われた方も余計に恥ずかしい。
 なんて答えていいかわからず顔を真っ赤にして口をパクパクさせているセリスは、まるで金魚のようだった。

 

†  †  †

 

「リラ、ロイ、誕生日おめでと~!」
 セリスの言葉に、ロックがクラッカーを鳴らした。
 今日は11月13日。双子の誕生日だ。双子が産まれてからずっと、家族5人でささやかなパーティーを開いている。ちなみに、リオンの誕生日は不明だが、ロックとセリスの子供になった日を誕生日としている。
「ありあとー」「ありがとう」
 挨拶だけはしっかり教えているせいか、リラとロイはそれぞれペコリと頭を下げる。そのお行儀の良さが、愛くるしい。
「今日から3歳ね」
 ご馳走を前に目を輝かせている双子に、セリスは可愛くラッピングした袋を取り出した。
「これはお母さんから、お洋服作ったの。初めてだから、あんまりうまくないんだけど、着てくれる?」
「うん!」「うん!」
 二人は同じように頷くと、早速袋を開けた。丁寧に畳まれた洋服を広げて、リラが立ち上がった。
「これぇ、リラの?」
「そうよ?」
「着ていーの?」
「勿論」
 セリスが頷くと、リラはその場で今まで着ていたワンピースを脱ぎ始めた。
「おいおい、今、着るのか?」
 ロックは呆れ顔で呟いたが、本気で呆れているわけではないのだろう。口元が笑っている。
「着ぅの!」
 ヒステリックに叫んだリラを見てロイも服を脱ぎ出す。
「わかったけど、汚さないでね」
 脱いだ服を畳みながら、セリスは忠告した。はしゃいでいる3歳児にご馳走を出して「汚すな」は不可能なことだが、言わずにはいられない。
 テーブルから少し離してリオンがロイにスモックを着せている───本当に面倒見がいい。どうやら大好きだった兄の真似をしているにすぎないらしいが。
 お揃いの服に着替えた二人を並ばせて、セリスは満足そうに頷く。
「うん。似合うよ。二人とも可愛い」
 頭を撫でてあげると、
「ありあとぉ」
 リラがギュッとセリスに抱きつく。甘えるのはいつもリラが先だ。だがリラが甘えているのを見ると、ずるいと思うのだろう。ロイもセリスに抱きつこうとしたが、ロックに抱え上げられてしまった。
「お父さんじゃ嫌か?」
「とーちゃ!」
 ロイはロックに抱きつく。
「俺もお前達にプレゼントがあるよ」
 ロイを抱えたまま、ロックはリボンのかかった包みを盗りだした。トレジャーハントの下見に行ったついでにジドールまで足を伸ばして買ってきたものだ。
「なになに?」
 すぐ間近で尋ねてくるロイに青いリボンの方を渡して、セリスから離れてプレゼントを取りに来たリラにピンクのリボンの包みを渡す。
「開けていいぞ」
 ロックの言葉に二人が包みを破き出すと、もう一つ、小さな包みを取り出した。
「リオン」
「ん?」
 所在なさ気に座っていたリオンに、包みを放る。
「お前には土産。お前、俺の見てピアス欲しいって言ってただろ?」
「マジ?」
 リオンは目を丸くして包みを開ける。中身はピアッサーと銀の細い輪。
「ありがとう、父さん!」
 実の子である双子に不安を覚えないように、ロックはリオンのことまでよく考えている。時には甘やかしすぎと思うこともあるが、リオン自身が自分に甘い子供ではないから丁度いいのだろう。
「お洋服?」
 ビリビリと滅茶苦茶に破っている双子の包みを覗き込んでいたセリスが、ロックを見上げた。「ナイショ」と言って教えてもらえなかったのだ。
「揃いのコート。もう去年のは着れないからな」
「とーちゃ、ありがとう!」
「とーちゃ、ありぁとぅ」
 双子に抱きつかれて身動きがとれなくなったロックに二人を任せ、セリスはリオンのピアッサーを手に取った。
「開けてあげようか? 自分でやった方が痛くないけど……」
「うん。じゃあ、自分でやる」
「そう? 思い切って一気にやらないと痛いからね」
 頷いたリオンは、「じゃ、後で」と言って、今もらったピアッサーをポケットに突っ込んだ。
「じゃ、ご馳走食べようか」
 セリスの言葉に、「わーい♪」と双子はロックからパッと離れる───どうやら父親よりご馳走の方がいいらしい。
 ロックは苦笑いで肩をすくめると、手作りのケーキに立てた蝋燭にマッチで火を点ける。
 ケーキは中ぐらいの大きさのものが2種類作ってあって、紅茶のシフォンケーキとベイクドチーズケーキだ。新鮮な生クリームが手に入りにくいので、ショートケーキは作れなかった。
「じゃ、誕生日の歌、歌おうか」
 セリスに促されて、リラとロイはにこにこと頷く。
 歌なんてオペラ座で覚えたもの以外はろくに知らなかったセリスだが、モブリズで過ごしていた間に子供向けの歌を結構覚えた。
「ハッピーバスデー おめでとー♪
 君の産まれたこの日を祝って
 産まれてきてくれてありがとう
 ハッピーバースデー!」
 歌い終わると、リラがチーズケーキの火を消した。それを見て、ロイはムクれて黙り込む。
「あれ?」
「消さないのか?」
 セリスとロックの問いに、ロイはリラを涙目で睨んでいる。
「おれ、も、チーズがいい!」
 癇癪を起こされ、セリスとロックは顔を見合わせる。
「どっちも皆で分けて食べるのよ。火を消すだけでも、嫌?」
 セリスが優しく尋ねても、ロイはムスッとして答えない。ロックは苦笑いで、
「お前が消さないなら、俺が消しちまうぞ」
 ケーキに顔を近付けた。
「だ、だめ!」
 ロイは慌てて火を吹き消す。なんとも単純だ。
「じゃ、ケーキ切り分けるわね」
 きちんと当分して、2種類のケーキをお皿に載せてあげると二人はまたたく間にたいらげてしまう。
「唐揚げとかも食べていいんだからね」
 セリスが言う前に、ロイは唐揚げを口に頬張っていた。

 今日はリラとロイの誕生日。今年もささやかなパーティーを開いたけど、去年の比じゃない騒ぎよう。でも、もっと大きくなったら「パーティーなんかいらないよ」とか言い出すのかもしれない。そう思うと、大騒ぎでも楽しんでおこうと思う。
 今日、リラとロイを見ていたら、リラは少しわがままかと思う。寝る前に「勝手に消さないで、仲良く話し合おうね」って言ってみたけど、わかってもらえたかどうか……。話す語彙は多くないものの、私達の言ってることは理解しているみたい。でも、どこまで理解してもらえてるのかわからないから難しい。
 女の子だってことで、リオンが甘やかしているからかしら。私とロックはリラもロイもリオンも同じように甘やかしている自覚があるし……。なかなか難しい。
 でも、ロックがリオンにピアスを買ってきてあげたことには少しびっくりした。夜、自分でピアッサーを使って小さな輪を付けたリオンはとっても可愛かった。死んだっていうお兄さんがロックに似ていたっていうのは本当かもしれない。リオン自身もなんとなくロックに似ている。顔立ちじゃなくて、なんていうか雰囲気が似てるのね。
 ロイとリラもロックに似ているけど、それとはまた違う。
 わたし達はいい家族になることができてる。ずっと、家族であることができるといい。
 でもたまに考えてしまう。もし、リオンのお兄さんが生きていて巡り会えたら……リオンは私達の元を離れてしまうだろう。寂しいけれど、仕方がないのだろうか。
 生きていたらリオンは喜ぶだろうけど、わからない未来を考えて不安になるのはやめよう。
 幸せの形を決めつけちゃいけないと、心から思うから。

 

■あとがき■

 またまたお届けが遅れていることをお詫び申し上げます。先週、親戚が亡くなってしまって日曜日がつぶれてしまったので……。法事は致し方ないですね。
 今回、育児に関しての情報は、ユニ・チャーム株式会社様のサイト内にある「育児お役立ち情報」を参考にさせて頂きました。幼児の育て方なんてまったく知らない私ですが、いつか自分に子供ができたときのためにも知っておいていいこと。勉強になります。
 とは言うものの、あんましその情報を使った話じゃないですね。なんていうか「子育ての様子」っていうよりは「激!ラブラブファミリー♥」って感じになってしまいました。でもさ、幸せいっぱいの家族ってこんなんかな? って。理想ですよね。実際問題とかは置いておいて。特に、セリスは家族ってものがなかったし、ロックも苦労したし。二人を幸せにしてあげたいという親心(?)です(笑)。
 題名は勿論「お菓子の家」ってことで、甘い幸せ家庭のイメージです。1話目はあんまし関係なかったけど……;;
 さて、1話目は生後6ヶ月ぐらいだったんですが、2話目は突然、3歳です。本当は1歳や2歳も入れようかと思ったんだけど、そんなに書けるほどのエピソードがないかなぁ……とか。私自身が子育てを経験していれば別なんでしょうが、やっぱり想像力だけでは補えません;;
 誕生日の歌は、有名な「ハッピーバースデー トゥーユー」にはしませんでした。なんとなく、名前を入れるのに「リラ&ロイ」とか? って悩んだので。今回使ったのは、よく中学の時友達の誕生日を祝っていた歌にしようかと思ったけど、結局、著作権問題があると困るし、題名すらわからないんじゃそれを調べることも不可能……ということで、オリジナルとしました;;
 次回は最終回の予定ですが……内容をまだ考えてません。「怒られたリオンが家出」とかも考えたんですが、リオンそこまで怒られるような悪さしないもんなぁ(笑) 難しいものです。
 この話を書きながら「お父さんは嫌か?」ってフツーに変換しようとしてたら、「お父さんは( ;´Д`)いやぁぁぁぁぁー!か?」になりました。「いや」で変換すると出てくる絵文字なのねん。気付かず載せてたら危ない……;;
 名前わかりにくくて失敗したかなぁ。ロック、ロイ、リラ、リオン……なんだか違うけどビミョーに似たような名前? (05.05.01)

【後編】

 薄暗い洞窟の中、5人はゆっくりと歩みを進めていた。
 天然洞窟のようにも見えるそこは、ロックに言わせると「おそらく天然洞窟を加工して作ったもの」らしい。
 3度目というロックは慣れたもので周囲に、後ろに続く4人にと気を配りながら歩調にも気を付けている。
 後に続くのはこの洞窟2回目のリオンだ。13歳になって一層落ち着き大人びてきたリオンは、何度もロックのトレジャーハンティングに同行しているせいもあるのか、後ろを振り返って弟妹を気遣う余裕さえ見せている。その年齢では背も高い方で、既にロックより拳一つ下だ。
 それからロイ、リラと7歳になった双子が後を追う。
 ロイは興味津々といった表情で瞳を輝かせていた。前の二人の背中に阻まれ余り先が見えないのが不満らしく、リオンの背中に手を置いては薄暗い洞窟の奥を覗き込もうとしていた───危険がないとわかっているせいか、リオンもしからずに苦笑いに留めている。
 最後尾のセリスの前を歩くのがリラは、ロイより頼りない足取りだ。男兄弟二人がいるせいか、甘えん坊なところはあってもロイと一緒に駆け回ってちゃんばらごっこをしたりもするし、通常の少女が毛嫌いするような虫も比較的平気だ。だから連れてきたのだが、「恐いものは苦手」というリラは、この薄暗さが嫌なのかもしれない。緊張して身体が強張っている。
 セリスは小さな娘のつむじを見つめ内心で苦笑いを零した。日程が決まった時、日記にも書いたがリラは無理をしている気がする。

 温かくなって来たから、ロックがリラとロイをトレジャーハンティングに連れて行ってあげると言う。そういえば去年の7歳の誕生日に約束していた。ロックが初めて父親に連れて行ってもらったところで、リオンも最初に連れて行ってもらったところだ。
 それはいいけれど……ロイは行く気満々だけど、リラはどうなのかしら? 「リラも行く!」そう主張してたけど、ただ仲間はずれになりたくないだけのような気がする。
 ロックは「トレジャーハンターになるかどうかは本人達に任せる」と言っているけれど、リラにそういうつもりがあるとは思えない。勿論、一度ぐらい行ってもいいし、行ってみないとわからないだろうけど……男の子と同じ感覚で連れて行くと、困らないかな? 少し、心配。

 地殻変動で大きく地形が変わってしまったため、最初にリオンを連れて行くために下見をした時、この洞窟を見つけるのがすごく大変だったと言う。中はさほどひどく崩れていなかったようだが、分岐点の一つが進めないそうだ───蝙蝠の巣になった行き止まりの道だから塞がっていても問題はないという話だが。
 当の分岐点まで来ると、ロックは足を止めた。
「ここさ、本当は蝙蝠が住んでて、俺が初めて来た時は蝙蝠に飛び出されてすっげぇビビったんだ」
 ロックが指差すと、ロイとリラは光差さない穴の奥を覗き込んだ。すぐ先に崩れた岩壁が積み重なっている。
「蝙蝠は死んじゃったの?」
 リラの問いに、ロックは頭をかいた。
「ん~、多分な」
 ロックの答えに、リラはしゅんとなって項垂れた。
「可哀想……」
 漏らされた呟きにセリスとロックは顔を見合わせる。
「あなたは優しすぎるのかもしれないわね。トレジャーハンターには向いていないかしら」
 セリスがそっとリラの頭を撫でると、リラはむくれたような顔でセリスを見上げた。
「そんなことないもん!」
 拗ねたような口調に、セリスは目を丸くする。
「お兄ちゃんとかロイはなれるのに、リラになれないなんてことない!」
 思いがけない強い口調に、セリスは優しい笑顔になった。
「ごめんね。そうだね」
 セリスと同じことを思ったけれど口に出さなかったロックは、苦笑いで「先に進むぞ」そう行って歩き出した。


「きゃーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
 突如、甲高い悲鳴が洞窟に鳴り響いた。
 元凶は勿論、ロックとセリスの可愛い娘リラだ。
ぎゃーぎゃーぎゃー! む、む、む、虫!
 ずさっと後ずさってセリスの背後に隠れたリラは、震えながら狼狽えまくっている。
「だーかーら……」
 言いかけたロックだが、
   ボダボダッ……
 天井や壁に貼り付いていた六角玉虫が一斉に、落ちてきたのだ。
「うへぇっ」
 さすがのロックも驚いて、ロイとリオンの手を引くと後ろに下がる。
「おとーさん! 背中に入ったぁ~」
 男の子と言えどまだ子供。ロイが泣きそうな顔で訴える。
 六角玉虫から少し離れると、泣いているリラを宥めているセリスを横目に、ロックはロイのシャツをめくり上げて虫を摘むとひょいっと放る。
 リオンは双子ほど動揺しているようには見えないが、顔をしかめて地面にあふれかえる六角玉虫を眺めていた。
「ご、ごめんなさい……」
 しゃくりあげながらリラがセリスを見上げる。そんな姿がやっぱり女の子だなぁ、と、セリスとロックは顔を見合わせた。
「嫌なものは仕方がねぇか。聞いてたのと実際見るのじゃ、気色悪さが違うしな」
 呆れたように笑うロックは、リラの頭をそっと撫でてあげる。
「虫も驚いて落ちてきただけで、あいつらは別に悪さするわけじゃねーんだ。説明した通り縁が赤いのは毒を持ってるけど潰さなきゃ問題ない。ま、潰れると思うけど靴履いてるし、突っ切るか?」
 自分とセリスは平気だろうけど、子供達は気持ち悪いと嘆くかもしれない。ロックは子供達を見回した。
 リオンはここで引き返すのは悔しいという表情をしているが、ロイは複雑そうだ。リラにいたってはくしゃくしゃになったハンカチを握り締めてセリスにすり寄っている。
「俺は行きたいけど、今日はロイとリラのために来たんだから、二人が決めていいよ」
 お兄ちゃんらしくリオンが双子の妹と弟に答えを促す。元々大人びていたリオンだが、最近は以前に増して聞き分けがいい。無理して我慢しているのではないかとセリスが尋ねたが、リオンははにかんで「早く大人になりたいだけだよ。大人はワガママなんて言わないだろ?」そう答えた。
 困ったようにリラを見て答えないロイに、涙を引っ込めたリラは、
「行く!」
 噛みつくように言ってしまい、
「あ、また大きな声出しちゃった。ごめんなさい」
 恥ずかしそうにする。
「行くのか?」
 ロックが目を丸くすると、
「あのね、こんなことで怯んでたら、リッパなトレジャーハンターにはなれないのよ」
 ませた口調で宣言すると、セリスは思わず吹き出した。
「お、お母さん、どうして笑うの?」
 ムクれた顔で見上げられ、セリスは笑みを零した。
「一人前のこと言うから。でも、気持ちが大事だものね」
「リラは行くなら、俺も行くよ」
 負けじと言うロイの頭をロックは一撫ですると、
「じゃ、行くか。虫を潰したいやーな感触がしても、大人しくできるな?」
 ニヤニヤして双子を見た。
 想像してしまったのだろう。生唾を飲み込んだリラとロイだが、大きく頷く。
「こりゃ、頼もしいな」
 嬉しそうに呟いたロックは、先程よりは少し少なくなったがそれでも足の踏み場のない洞窟の先に向かって歩き出した。
 おっかなびっくり歩いていた双子達だが、それでもそこを抜けて狭い坂道を下り広い場所に出ると感嘆の声を上げる。
「すごい!」
 床から天井から仄かに光る苔が広がっている。その中に神秘的に浮かび上がるのは沈んだ柱の見える湖だ。
「俺もこれを初めて見た時は感動したんだ。地殻変動で多少遺跡が沈んじまったけどな」
 沈んだ神殿は今は屋根しか見えない。崩れた柱が所々突き出ているが、廃れた感じはせず哀愁を漂わせていた。
「ここで終わり?」
 感動が引くと、拍子抜けしたのかリラがロックを見上げる。
 ロックは苦笑いで担いでいた荷袋から長いロープと弓矢のようなものを取り出した。
「父さん、俺がやりたい」
 それまで余り口出ししていなかったリオンがロックに近付いて言った。
「おし、いいぞ」
 道具一式をリオンに渡してあげる。
 リオンはロックから様々なことを教わり、トレジャーハントに行かない時も様々な道具の使い方などを練習していた。
 ボウガンを組み立てて、通常よりかなり大きく丸い鏃のついた矢にロープを通して結びつける──ロープを通すための穴が空いている。自分でやりたいと言うだけあってしっかりした手つきだ。
 準備が終わると水辺ギリギリまで行きロープが絡まないようゆるめにまとめて足下に置き、、湖に向かってしっかりと足を広げて立つ。以前のように丁度いい柱がないのだが、遺跡の屋根部分に飛び移れそうな柱に向かってロープ付きの矢を打ち出した。
 風のない場所なので矢は真っ直ぐに柱に向かって行き、傾斜のかかった柱にぶつかったかと思うと鏃部分が割れて鈎先の付いたロープが何本も飛び出した。
 柱を両側から覆うように飛ぶとそのうちの数本が引っ掛かりロイのいるところからロープが伸びる。
「わお、あれって、いつの間にあんな仕掛けに?」
 セリスが目を丸くして尋ねる。以前使っていた時は、あんな仕掛けはなかったはずだ。
「エドガーが暇つぶしに開発してくれた。失敗することもあるのが難点だけどな」
 ロックは肩をすくめて説明すると、
「かっこいー」
「すごいねぇ」
 目を輝かせている双子の頭を撫でると、
「足場が悪いから先に行ってロープかけてくれるか?」
 リオンに束にしたロープを渡して言う。
「うん」
 頼られているのが嬉しいのか、手元のロープを後ろの岩に固定したリオンは素直に微笑むとボウガンとロープを固定するのに使ったハンマーを畳んでロックに返し、滑車をロープに掛けた。
「水位が上がったせいで俺達じゃ足が水面に引っ掛かりそうだな……」
 ロックは多少困った顔で呟く。リオンと二人で下見に来た時は平気だったが、リラとロイを抱きかかえて行くとなると重みが掛かって下がるため難しい。以前は岸辺は崖のように切り立っていて水面まで3mほどあったが、現在では半分ほどだ。
「じゃ、先に行くね」
 ちらりと後ろを振り返ったリオンは、興味津々のリラとロイの視線を受けて滑車に皮のグローブを固定すると身を投げ出した。
 身長が150㎝ほどしかないリオンは水面を掠ることもなく柱まで向かっていく。
 柱に近付くと衝突しないように滑車にブレーキをかけて足で柱を蹴るように止まる。滑車を外し身軽に柱の上に飛び乗る様は、血は繋がってなくともロックの子だ。
「おにーちゃん、かっけー♪」
 兄を誇らしく思ったロイが嬉しそうに手を振る。手を振り替えしたリオンは柱から遺跡の屋根に飛び乗って丈夫そうな装飾にロープを繋ぐと、滑車をロック手作りのブーメランにくくりつけてロック達の待つ向こう岸に投げ付ける。
 滑車の重みでバランスの悪いブーメランはものすごい勢いで飛んでくると、背後の土壁に突き刺さった。
「あ、荒技ね……」
 呆れたように目を瞬かせたセリスに、ロックは肩をすくめる。
「こんなもんだろ?」
 そしてロイを引き寄せると、
「お前達は俺達と一緒な」
 茶目っ気たっぷりに片目をつむった。
「「えー!」」
 ロイもリラも声を合わせて不満そうにムクれる。
「自分たちの体重を支えられるか? 落っこちても平気か?」
 双子は軽いが身体ごと掴まれるようなものではない。片手で支えるのは厳しいだろう。
「俺も最初は親父に捕まって渡ったし、リオンもそうだった。お前達も最初は、な?」
 優しく諭されるとワガママが言えなくなってしまうらしい。拗ねた顔のままだが、それ以上文句は言わなかった。
 ロックがロイを、セリスがリラを抱いてなんとか神殿の屋根へ到着すると、リオンは辺りを確認し終えていた。
「問題ないよ。以前と変わってない」
 自信たっぷりに告げるリオンの頭を一つ叩いたロックは──頭を撫でたいところだがロックの真似をして巻いている濃灰のバンダナがズレてしまうので嫌がられる──、
「おっし」
 神殿の屋根は奥の岸へと続いていて、ロックはそちらを指さした。
「あっちに抜けられるのがわかるか?」
「ほんとだ」
「何があるの?」
 期待に満ちた目で双子に見上げられ、ロックはニヤリと頬を緩めた。
「自分たちで確かめてごらん」
 そう言われると、ロイとリラは駆け出した。
「あ、走るなよ。足下に気をつけてな!」
 ロックが叫んだが聞こえていない。だがリオンが慌てて後を追ったから、ロックとセリスはゆっくり行くことにした。
「本当に子供達には丁度いいわね」
 ロックと肩を並べて歩きながら、セリスが呟く。
「ああ。三つ子だったら大変だったけどな」
 湖を渡るのにロックかセリスが一度戻らなければならない。
 些細な冗談に吹き出したセリスは、
「それ以前の大変さの方が、恐いわよ」
 夜泣きも少なく話に聞くよりは大人しい赤子達だったが、それでも二人いっぺんに育てるのは楽ではなかったのだから。
 ロックとセリスが岩壁の穴を背をかがめて抜けると、低い階段の上にある台座の周囲で子供達が声を上げていた。
「あ! 父さん!」
「これ、もらっていいの?」
 台座の上に置いてあったのは、二人の初トレジャーハンティング記念のプレゼントだ。誕生日プレゼントは既にあげてある。
 ロイにはパステルブルーのバンダナと初心者用の盗賊のナイフと呼ばれる万能ナイフ。リラにはパステルグリーンのバンダナと飛刃の付けられる小手だ。
「リラは女の子だし、本当にトレジャーハンターになりたいのかわからないけど……」
 一緒にプレゼントを選んだセリスが、娘の様子を窺うように零す。当のリラは、
「これ、どうやって使うの?」
 一体、何かわかってないらしい。エドガーの試作品で市場には出回ってはいないものだから、リオンとロイも初めて見る。そのため二人も不思議そうにしていた。
 セリスはリラの細い腕にそれを装着すると、刃のないブーメラン状の武器を付けて──飛刃は戻ってくるため、慣れるまでは刃のついているものを使わせられない──、
「これで、人のいないところに向かって飛ばしてごらん。目標に向かって腕を伸ばしてここを引くのよ。しっかり踏ん張ってね」
 小手の上で飛刃を固定している台に付いている引き金を教えてあげた。
 リラは言われたとおり誰もいない部屋の奥に向かって引き金を引いた。
 バシュッ 小気味いい音を立ててブーメランが飛んでいく。反動で後ろに転びそうになったリラだが、セリスがしっかり支えていたのでよろけただけで済んだ。
 奥の壁に当たる寸前でカーブしたブーメランは回転しながら戻ってくる。リラは思わず避けてしまい、後ろにいたロックがそれを止めた。
「うまくいけばちゃんと填って元に戻るの。それも練習かな。少し難しいかもしれないけど……」
「う、うん。でも、面白いね」
 一応、リラも喜んでくれたようだ。
「リラの奴、いいなぁ……」
 ロイがそんなことを言う。ロックは苦笑いで、
「腕力のある男は、自分で投げて自分でとるんだな。ブーメランなら俺かリオンが作ってやるから」
「そっか。はぁい」
 機械仕掛けの道具が羨ましくはあるみたいだったが、男らしくしたいという気持ちには子供ながらに勝てないようで、ロイは大人しく引き下がった。

 今日はどうなることかと思ったけど、リラもロイも喜んだみたいでよかった。
 リオンの成長ぶりにはちょっと驚いたかな。ロックはいつも一緒に出掛けてるけど、私は実際に冒険してるところを見たのは初めてだったから。
 もし、リラとロイがトレジャーハントのためにロックについて行くようになったら、また私も一緒に行きたいと思う。ブランクは長いけど、身体を鍛えることは欠かしてないし剣の素振りや型も毎日している。
 勘は鈍っているだろうけど、リラとロイを連れて行く時は危険なところには行かないだろう。
 親子5人でトレジャーハンティングできる姿を想像して、思わず笑みがこぼれてしまった。
 こんなに順調で幸せで、逆に不安になってしまう。だけど、何があっても、子供達を守っていきたい。
 子供達が幸せでいられるように、私とロックで、守ってあげたいと、心から、そう思う。そう思えるような日々を送れるようになったすべてに、感謝している。

 ・ fin ・

 

■あとがき■

 おつかれさまでした。これにて完結となりました。会社の繁忙期があって、お届けが送れてしまい申し訳ありませんでした。リンさんには本当にご迷惑をおかけしたと反省しております。どうかお許しください m(_ _)m ペコリ
 最後、いかがでしたでしょうか。「子育て」っていうのとはまた違う気もするけど、これもロック流「子育て」の一環ってことで。
 ただ、最後の話は激しく題名とマッチしない……。でも、書きたかったんですぅ;;
 今回、日記に日付がありません。洞窟へ行った日の前に書いた日記の内容だったら、後に書いた日記の内容だったりという感じなので、わざと日付をつけませんでした。最初は書いてたんだけどね。逆にわかりづらいかと思ったので。
 リラのもらった武器(?)は、FFⅧのリノアのアレね。
 ちなみに一昨年のロック誕生日フリー創作「FirstTry」では、ロックが父親にこの洞窟に連れてこられた時の様子が書かれています。ので、未読の方は是非読んでみてください。

 次は、携帯版キリ番の8888hitです。話の内容の時期的には前後する可能性はありますが、同シリーズで書くことに決めました。お楽しみにw (05.07.03)

【この頁で使用させて頂いた素材サイト様】ClipArt : Prarl Box

Original Characters

リオン

ベクタ出身。万引きでしかられていたところをロックに拾われた孤児の男の子。5歳になるやんちゃ坊主。明るい栗色の髪と瑠璃の瞳。

(他の登場小説「MATERNITY PINK」「ベリーベリー」)

リラ・コール

セリスとロックの子。双子の姉。名前は古語で『花の妖精』を表す。ロック似だが瞳の色だけはセリス譲り。

(他の登場小説「MATERNITY PINK」「ベリーベリー」)

ロイ・コール セリスとロックの子。双子の弟。名前は『ルクレチア物語』の騎士から。姉とそっくりの容姿。(他の登場小説「MATERNITY PINK」「ベリーベリー」)