HEART



~Ⅰ~

 潮の香りに包まれて目が覚めた。外からは朝市のざわめきが聞こえる。
 ぼんやりとした顔のままベッドを出ると、扉の向こうに用意された手桶を部屋に入れてまず顔を洗った。
 さっぱりしたところで着替えて、隣のベッドで眠る小さな少女に声を掛ける。
「リルム! 起きましょう!」
 子供だからなのか朝が苦手なのか、なかなか布団からでたがらないリルムを起こすのは毎朝苦労している。今年で13歳になるというのに、口ばかりが達者になっていく少女の先行きが少し不安だ。
「また朝ごはんを食べ損ねるわよ!」
 叫んで布団を引き剥がすと、急にガバッと起きあがる。
「…………おはよ……セリス」
 眠い目をこするリルムはやっと起きる気になってくれたらしい。
「先に食堂行ってるからね。また寝ちゃだめよ」
 念を押して部屋を出る。7人分の食事を用意してくれる宿屋の女将を手伝うためだ。
 セリス達は今、アルブルグの港町に停滞していた。訪れた日から3週間が経つ。ケフカを倒した後、復興を手伝うため各地を回っている。
 フィガロ王のエドガーと、己を慕うモブリズの子供達がいるティナ、ナルシェに恋人を残してきたモグは、それぞれ待つ者の元へ戻った。ストラゴスもさすがに年で復興を手伝うのは無理なので一足先にサマサへ帰り、シャドウもいつの間にか姿を消している。
 セリス、ロック、マッシュ、セッツァー、カイエン、リルム、ガウの8人が現在共にいた。
 被害状況と復興状況は、逐一エドガーへ報告することで相応の支援を寄越してくれる───被害が少ないからといって楽なわけではなく、ジドールやナルシェにも多少の資金援助をさせているが。
 日々は、打倒ケフカを目指して旅をしていた頃よりも忙しく、充実していた。
「おはようございます」
 セリスが姿を見せると、まだ若く美人の未亡人ライータが食卓を拭いていた。
「あ、そんなの私がやります」
「そう? じゃ、よろしくね」
 雑巾をセリスに手渡すと、ライータは台所へ戻って行く。帝国に夫を殺され、一人、宿を切り盛りするライータは独身男性の憧れの的だ。
 宿に泊まっているのはセリス、リルムの女二人だけで、男5人は飛空艇で寝泊まりしているが、食事はライータの営む「流星宿」で共に食べている。
 しばらくすると、マッシュを先頭にぞろぞろと仲間達が入ってきた。
「セリス! おはようっ!!」
 ガウは毎朝元気だ。純粋な少年を見ているとセリスも心が洗われる気がする。
「おはよう」
 にっこり笑って返事をしたセリスは、ロックの姿がないことに気付く。
「ロックは?」
「ああ、なんか女につかまってたよ。甘いものの話してたな」
 にやにやと答えるセッツァーに、気にしていると思われるのはシャクなので、
「ふーん」
 セリスは全く気にしていないフリをした。
 すぐにロックもやって来て、いつまでも下りて来ないリルムを呼んで来る───案の定、二度寝していた。
 その日の予定を確認するのが毎朝の決まりだ。
「学校の修繕だったよな」
 パンを囓りながら、マッシュが皆の顔を見回す。彼等が修復作業を行うのは公共施設が主で、昨日までは国立病院の病棟修理を手伝った。
「建物自体は無事だけど、子供達が騒いでも危険がないよう丁寧にしないとな」
 野菜スープを飲んでいた手を止めて、ロックが付け足した。
 下調べは終わっているが、修繕箇所がかなりあった。学校は7人だけで修理を行うので、長期に渡ること覚悟だ。
「じゃあ、食べ終わったら早速向かいましょう」
 セリスがしめくくった。


 片付けを手伝い終え、お弁当を持って宿を出た。
 リルムと二人、低い柵に囲われた学校の敷地に入る。教室数6つ、職員室1つの小さな学校だ。
 丁度ロック達は休憩をとっているところだった。
 校庭の隅に立つ木の下で紫煙をくゆらせるロックの周囲には、数人の女の子が群がっていた。同じ木の脇に寄りかかるセッツァーが呆れ顔で葉巻をふかしている。
 ちらりとだけそちらを見たセリスは、
「そういえば、なんか町がそわそわしているわよね。特に女の子」
 セリスは不思議そうに呟いて、木のベンチに座る煙草を吸わないメンバーの方へ近付く。
「お茶、飲むんでしょ?」
 ポットからお茶を汲んで皆に渡す。
 ロックの隣で煙草を吸っていたセッツァーもやって来て、コップを手に取った。
「居場所がありゃしねえ。あの男のどこがいいのかね」
 ぶちぶちと呟くのを聞いて、リルムが首を傾げた。
「あれって、バレンタイン近いから?」
「だろうな」
 相づちを打ったセッツァーを見て、セリスは不思議そうな顔になる。
「バレンタインって、大事な人に花を贈るあれ?」
 するとセッツァーとリルムは変な顔をする。そういう風習のないマッシュやカイエン、ガウはもっとわかってない様子だ。
「花を贈り合うのはジドール辺りの風習だろ? このマランダやツェンもそうだから、帝国だってチョコレートじゃねーのか?」
 セッツァーの言葉に、セリスはキョトンとした。
「チョコレート? シド博士は花を贈るんだよって教えてくれたのよ?」
「じゃあシドは、向こうの生まれだったのかもな。この大陸じゃあ、女が好きな男にチョコレートあげて告白するっつーのがバレンタインだ」
 セッツァーは世界中を回っているだけあって、文化の違いもよく知っている。ロックもそうなのだろうが、あいにく輪の中にはいない。
「へえ、そうなんだ」
 呟き、セリスは横目でロックを見た。女の子達に囲まれて困った顔をしていたロックはいい加減疲れたのか、残念そうな顔をする少女達を振り切り戻ってきた。
 セリスは胸の中からモヤモヤした何かが沸き上がってくるのを無視してポットを差し出した。
「じゃあ、再開ね。リルムはポットの中身なくなったから、取りに行っておいてね」
 力仕事のできないリルムは修繕自体を手伝うことはできない。雑用や掃除をする。
「はーい」
 ポットを受け取ったリルムは、元気良く学校を飛び出していく。
「俺にはお茶ねーの?」
 しょんぼりしたロックが呟く。
「ごめん。足りなかったわ」
 セリスが苦くはにかむと、
「女に囲まれてヘラヘラしているお前が悪い」
 セッツァーが嫌味ったらしく言う。
「別にヘラヘラなんてしてねーだろ。一体、なんなんだ」
 人気があるという自覚がないのだろうロックは憤慨する。鈍感なのか、どうでもいいからなのか、案外素っ気ない。
 この町に若い男は少ない。戦争で兵士として駆り出され、ほとんどが帰らぬ人となっている。
 マッシュはいい人すぎて、セッツァーはアクが強すぎるのだろう。ここにエドガーがいたら果たしてどうたったかは、わからない。
「いいから、始めるでござるよ」
 カイエンに促され、大工道具を持った彼等は建物の中に入って行った。


 その日の夜、就寝しようとしているセリスに、布団の上であぐらをかくリルムが尋ねてきた。
「そういえばさあ、セリスはロックにチョコレートあげないの?」
 うしししし、と含み笑いされ、セリスは頬を引きつらせながら、
「なんで私が……」
 素知らぬ顔をしようとした、のだが、
「そんなこと言っていいの? 言ったもん勝ちじゃない? ロックって押しに弱そうだし、あれよあれよの間に恋人できてるかも」
 少女と呼べる年齢に似つかわしくないにやにやした笑みで言われてしまった。セリスはこめかみがヒクヒクするのを押さえられない。
「大体、なんで強がる必要があるの? レイチェルのことだって解決してるのに、二人とも変だよ? せっかく両思いなのに」
「さあ? ロックって女の子にはみんな優しいし、私が特別ってわけじゃないわよ」
 強がりを言っている自分が悲しい。
「んもう! だとしても、いいじゃん。ぶつかってみれば。同じ後悔するなら、すっきりした方がいいでしょ? もしフラれて気まずくなったらとか思ってる?」
 正論を言われ、セリスは小さくなって頷いた。8つも年下の少女に説教されている気分だ。
 ロックとセリスの年齢差も8つ。彼からみれば、多分、自分は子供なのではないかと思う。落ち着いてはいるが、世間知らずで女の子らしくもない。背も高いし胸もない。何より、平気で多くの人を惨殺してきた。全てに自信がないのだ。
「それでもいいじゃん! 今だってぎこちないよ、二人とも!」
 確かにそれは認める。ケフカを倒して7人で旅に出てから、どうもぎこちない。変に気を遣い合っていた。
「そうね。諦めるにも、きっぱりフラれる方がいいものね」
 おしゃまな少女に背中を押され、セリスは決意した。
「じゃ! 手作り!?」
「えっ、手作りなの?」
「当然だよ~! でも今はチョコレートって貴重品だよなあ。売ってるのかなあ……」
「ライータさんに相談してみるわ。決めたんだから、とことん頑張らないと」
「その意気っ!」
 リルムは年齢相応の可愛らしい笑みを浮かべる。フと、セリスは聞いてみた。
「リルムは誰にもあげないの?」
「は? 相手がいないよう。全員に義理チョコなんてなあ」
「セッツァーは?」
 あのメンバーの中ではリルムと一番仲がいい気がする。口げんかばかりしているが、喧嘩するほど仲がいいという類に見えた。
「はあ? 冗談! あんな奴、絶対に嫌!」
 顔を真っ赤にして抗議したリルムは、頬をふくらませた。
「そうなの? まあいいけど……。じゃ、明日もまだまだやる事たくさんあるし、寝ようか」
「そ。早く寝るに限る」
 これ以上、話を続けたくなかったようで、リルムはさっさと布団を被った。
 バレンタインデーまであと、10日。
 セリスは今から胸がどきどきするのを、押さえられなかった。

 

■あとがき■

 18181Hit eveさんのキリリク☆です。『“バレンタイン・ロクセリ”チョコ(もちろん手作り)を渡しに行きたいけど 、ロックがモテまくりで、女の子達に邪魔されながらも頑張るセリス』のお話。
 キリリクの順番的にはちょっと前後するんですが、せっかく時期モノなので、今日、2月14日から連載開始としました。
 3話か4話の予定ですが、恒例で予定通り進むかどうかはわかりません。
 ケフカを倒した後、またみんなで旅って設定は結構、気に入ってます。これからも使うでしょう、きっと。 (04.2.14)

~Ⅱ~

 セリスの話を聞いたライータは快く相談に乗ってくれた。
 結果、作ることになったのはチョコレートケーキ。チョコレートが足りない分をココアで補えるからだ。
 粉砂糖とココナッツのコーティングにし、やはり貴重品の生クリームは中に挟むだけの分しかないだろう。
「練習、した方がいいかな……」
 作成方法を聞いたセリスが不安そうに呟くと、
「そうね。とりあえず、普通のケーキ作ってみましょうか。最初は膨らませるの難しいけど、慣れだから」
 ライータに励まされ、セリスの深夜の特訓が始まった。
 費用はなんとか頑張って捻出している。復興にあたる実費はエドガー持ちだが、小遣いはそうはいかない。他の皆がどうしているか知らないが、セリスとリルムはライータの店を手伝って小遣いを稼いでいた。
 三日も練習し、生地をこねずに混ぜられるようになると、出来上がるケーキも見られるものになった。ライータの言った通りスポンジケーキは縮まないようにするのが難しかったが、卵を丁寧に泡立てたり空気を抜いたりを繰り返して少しずつコツを覚えた。
 夜中に作られた失敗作は、ほとんどがリルムの腹に収まっている。
「食べても太らないなんて羨ましいわ」
 ライータの言葉に、リルムはキョトンとして、
「太るよ~。気にしないだけ~!」
 乙女らしからぬことを言った。


 大事な日まであと四日と迫ったある夜、夕食を終え片付けを手伝うセリス達の所へ、息をきらせたマッシュがやって来た。
「キキがいなくなったらしい」
 突然の言葉に、三人は動きを止めて顔を見合わせる。
「キキって、ロックの取り巻きの? 赤毛の甲高い声の子?」
 首を傾げたリルムが尋ねる。
「そう。その子。さっきその友達のアンネって子が来てさ、夕方森へ行って戻ってないって言うんだ」
「森? なんのために?」
 世界から魔力が消えたために魔物がいなくなった。とはいえ、森には凶暴な野生の獣が潜んでいる。
「知らないけど、ジンクスとかおまじないとか言ってた。森の真ん中にある泉でおまじないをすると願いが叶うんだと」
「はあ~、乙女だねえ」
 おばさんじみたことを言ったリルムを見て苦笑いを浮かべたセリスは、
「わかったわ。私も行くわね。いい? ライータさん」
 カウンターの向こうに立つライータを見た。彼女はすぐに頷きを返す。
「じゃ、あたしも!」
 両手を上げて主張したリルムだが、
「だめだ。待ってろ」
 いつも優しいマッシュにぴしゃりと言われシュンとなった。魔力がない彼女は普通の少女と差ほど変わらないのだから。
 セリスは剣をとってくると待たせていたマッシュと共に、宿を飛び出す。
「みんな手分けして森には行っている。泉にはキキの父親が見に行っていなかったらしい。セッツァーにはガウ連れて飛空艇で空から見てもらってる」
 詳しい話を聞きながら森の手前に来ると、ロックが立っていた。
「セリス、来てくれたのか」
「うん。他に手掛かりもナシ?」
 セリスの問いに、ロックは困った顔で首を横に振る。
「両親には町中を探すように言っておいた。……もしまだ森にいるなら恐い思いをしているだろうな」
「そうね。普通の女の子だもの。私はこっち見るね」
 同意して左手を指したセリスの言葉に、ロックは眉をひそめる。
「お前だって普通の女だろ。気を付けろよ」
「普通の女は帯剣したりしないわよ」
 ロックの気も知らず呆れ顔で返したセリスは走りだした。
「無茶しないといいけどな」
 マッシュに肩を叩かれ、ロックは溜息を飲み込んだ。

 

†  †  †

 

 森の中は生い茂る木々が月明かりを遮り、すこぶる視界が悪かった。ランタンを持ってくれば良かったが後の祭りだ。
 南半球の2月は蒸し暑い。流れてくる汗を拭い、セリスは森の中を徘徊する。
「キキー?」
 獣に見つかっても構わないと思いながら、大声で名を叫ぶ。勿論返事はない。
 さほど広くない森だが、もし何かあって意識を失われたりしていたら探すのはかなり大変だ。
「キキー! どこかにいたら返事をしてー?」
 それを繰り返し一時間。未だ少女は見つからない。もし仲間が見つけた場合も、森に入っている者にわかるように飛空艇が花火を上げることになっているが、その気配もない。
「困ったなあ」
 立ち止まって呟いたその時だった。
「!!!」
 何かの気配に構えると、相手も鋭い殺気を発してきた。が……、
「……カイエン?」
 侍独特の気迫に気付いたセリスは気の抜けた声で尋ねる。
「! セリスでござるか!」
 カイエンが木陰から姿を現し、ホッとして空気が和らぐ。柄に掛けていた手を互いに下ろし、
「見つからないでござる……」
「ええ。どこに行ったんでしょうね?」
 この森には生き物の気配が薄い。瓦礫の塔に近い場所だったことで狼など大きい動物は生息していないのかもしれない。
「一度、戻った方がいいかもしれないでござる」
「そうね。先、戻ってて。私はもう少し探してみるわ」
「無茶はいかんでござるよ」
「ありがと。わかってるわ」
 カイエンと別れると、セリスは再び進み始めた。
 それから20分が経過して、諦めて戻ろうと思った時、セリスは何かにつまづいて転びそうになった。
「わっ!」
 手近な木の幹で身体を支え、足下を見ると……
「キキ!」
 探していたその少女がぐったりして倒れている。しゃがみ込んで様子を見たが、何分暗くてよくわからない。
「キキ! 大丈夫!?」
 頬を叩くと、赤毛の少女は苦しそうに顔をしかめて目を開けた。
「……あれ…………?」
 ぼうっとして辺りを見回し、セリスを不思議そうに見上げる。
「何があったの??」
 身体を起こすのに手を貸しながら、できるだけ優しく問う。
「……道に……迷って……? 躓いて……」
 恥ずかしそうに呟くキキに、セリスはホッとする。単なる迷子だったようだ。
「そう。無事で良かったわ。 帰りましょう」
 頷いたキキが立ち上がったその時。
「!!!」
 低い呻り声にセリスはキキを背後に庇って身構えた。
「グルルルル……」
 野犬だ。一匹しか見えないが、まだ仲間がいる。
「やだ……何……?」
 震えた声で困惑を示すキキに、セリスは振り返らずに告げる。
「絶対に動かないで。いいわね」
 言い置いてエクスカリバーを引き抜いた。
 暗がりの中で細く注がれる月明かりを反射して光ったように見えた刀身に、野犬は一瞬怯んだが、
「ガウッルルルルッ!」
 異様な目をして飛びかかってきた。狂犬病かもしれない──噛まれると危険だ。
 狭い木立の隙を縫って無駄なく剣を振るい1匹目を仕留める。そのままの動作で牙を剥きだして噛みつこうとしてきた野犬の開いた口から剣で裂く。
「ひっ……」
 残酷な仕打ちにキキが息を呑んだが、立ち回りにくい場所で人を守りながら戦わなければいけないため気にしている余裕はなかった。
 寸分狂いなく舞うように、残りをその剣に屠ると、息も乱さすセリスは振り返る。
「怪我はない?」
 優しい声に、だがキキは闇夜にもわかるほど青ざめた顔をしている。普通の女の子にはかなり答えたようだ。
 セリスは返り血を浴びた己がひどく汚れた者に思えて、でも顔には出さず溜息を飲み込み手ぬぐいで剣に付いた血を拭った。
「歩ける?」
 問われたキキは、何か言葉を発しようとしたがうまく声が出ないらしい。震えているのがわかり、セリスはどうしていいかわからない。
「……血の臭いで他の獣が来るかもしれないから、離れた方がいいわ」
 そう言われやっとのことでキキは頷く。なんとか歩き出そうとして、しかしずぐに躓いた。
「っ!」
「大丈夫?」
 セリスに腕を掴まれ、キキは身体を硬直させた。
 彼女の視線はセリスの腕、まだ渇かぬ真っ赤な血へと注がれている。
「あ…………」
 キキは凍えるようにして視線を彷徨わせると、セリスを見た。セリスは戸惑って言葉を探すが、何を言えばいいのかわからない。
 逡巡している間に、キキはセリスの腕を振りきると突然掛けだした。
「!!! キキ!」
 セリスは叫んだが、キキは再び蹴躓きそうになりながらもものすごい勢いで走って行ってしまう。
「……怖がらせちゃった……」
 シュンとして呟いた声には、元気がなかった。彼女が手を振り払った勢いで爪が引っ掛かったらしく、セリスの手の甲に赤く筋が残る。
 町の方へ走っているから、真っ直ぐ行けばキキは大丈夫だろう。
 仕方なくとぼとぼと歩き出した。
 あんなことで怯むことのない自分は、可愛くないんだろう。女らしくない。せっかくロックに告白する決意を固めたのに、また気持ちが揺らぎそうだった。


「あ! キキ!」
 夜通し捜索するかどうか悩んでいたロック達は、森から出てきた少女に歓喜の声を上げた。
「良かった! 無事だったんだな」
 自分を心配する皆の姿に、キキは思わず涙を溢れさせる。
「恐かった……」
 震えながらしゃくり上げる少女を、父親が抱きしめる。
「心配かけやがって!」
 怒った口調の父親だが、顔は心底安心していた。
「ごめんなさい……」
 キキは何度も何度も謝った。

「ところで、セリス遅いなあ」
 カイエンに後から戻ると言ったセリスだが、それから1時間しても帰って来ない。キキが戻ってからは20分が過ぎている。
 現在森の入り口で待っているのはロック一人だ。他の者は全て追い返した───たまには二人きりになりたい。
 森の中に入ってみたいが、行き違いになると困る。広くない森とは言え、軽く町3つ分はあるのだから。
 落ち着かず何本目かわからない煙草に火を付けようとした時、森から人影が現れた。
「セリス!」
 慌てて駆け寄ると、セリスは疲れた表情ではにかんだ。
「ロック……。キキはちゃんと戻った?」
「とっくだよ。お前が助けたのか? あの子、泣いてて全然話せない状態だったし、今日は休ませたけど……って、何があったんだ!?」
 彼女にこびりついた血は既に固まってどす黒くなっているが、ロックは仰天して尋ねた。
「ああ、ちょっとね。……怖がらせちゃったみたい……悪いことしたな」
「お前に怪我はないのか?」
 顔を覗き込まれ、更に肩を揺さぶられ、セリスは困ったように頷く。
「で、何があった?」
「野犬が出てきて……キキの前なんだから、遠慮して戦えば良かったかも」
「何言ってんだよ。お前が怪我でもしたらどーすんだ。まったく……」
 ロックはブツクサと文句を垂れる。いつもと変わらぬ優しい彼に、セリスはホッとすると同時に切なくなった。
「でも、夢に見たりするかもしれないじゃない。……そういうの、後で気付いても遅いよね」
「なんで落ち込むんだ。大体、お前がいなかったらキキは殺されてたかもしれないんだぞ。馬鹿なこと言うなよ」
 ロックは乱暴にセリスの頭を撫でる。不器用な仕草に思わず目頭が熱くなるが、気付かれぬように目を伏せた。
「とーにーかーく、お前が無事ならいいんだ」
 セリスに言い聞かせるように呟くと、ロックは目の前の少女を抱きしめた。
「……ロック……?」
 突然のことで、セリスは困惑する。ロックは彼女を抱きしめる腕に力を込め、
「んだよ、たまにはいーだろ?」
 どういう意味だかよくわからないが、たまにと言わずいつもしてほしい───などと思ったのは帰ってからで、その時は胸がいっぱいで何も考えられなかった。
「あの、私、汚いよ?」
 渇いたとは言え、抱きしめたりしたらこすれて血が付いてしまう。訴えられたロックは、
「汚くないの。……それとも、嫌だったか?」
 弱気になったと同時に、腕の力を弱める。セリスは慌てて首を横に振った。嫌なはずがない。
「そっか」
 あからさまにホッとして、ロックはセリスを離した。あっさりとした抱擁の終了に、セリスはちょっとだけ残念そうな顔をしたがそっぽを向いているロックは気付かない。多分、照れているのだろう。
「んじゃ、みんな待ってるから、帰るか」
「うん。そうだね」
 頷いたセリスの手をとって歩き始めたロックの手の平があったかくて、四日後に控えるバレンタインを前に、セリスは大きな勇気をもらった気がした。

 

■あとがき■

 ケーキの作り方なんて桜は知りません。昔学校で教わったのを思い出して適当に書きました。いや~、ケーキ作りほど苦手なものはありません。何故か? 丁寧なことが何よりも苦手だからです。何事もダイナミックでワイルドに行こうぜ!って人なので……えへ。お菓子は料理と違ってテキトーで作るとすごいものが出来てしまいます……^^;
 バレンタイン直前にケンカ!? この二人はいつでも山アリ谷アリ───ってなるはずだったんだけど、「揺りかご」と似た展開になっちゃうのでやめました。普通にラブラブ。
 いつも(この話は違うけど)ロックばっかりが悪いような感じですが、考えてみればセリスも悪いのだと思います。自己悲嘆が深すぎることと甘えすぎかな。ロックのことに関してすぐに怯んじゃうからね。もっと怖がらずガツン!と行けば、別にロックが悪者になったりもしません。勝手にセリスが勘違いするのがいけないんです。(自分で書いてるんだけどね。たまにはロックを弁護)
 次回で終わります。リク内容本番の回。頑張ります! (04.2.21)

~3~

 明日にせまっているというのに、ロックと喧嘩をした。
 セリスは宿屋のベッドに突っ伏して、そこはかとなく落ち込んでいた。きっかけは呆れてしまうぐらい些細なこと。
 道端でキキに出会ったので恐い思いをさせたと謝ろうとしたが、脅えて逃げられてしまった。それをロックに話し、
「レイチェルだったらこんな風に怖がられることもないのにね」
 そんなことを言ってしまったのだ。その言葉に過敏に反応したロックは、
「人と比べるなんて意味ないことするな!」
 と大声を出した。それが気に入らず、
「あなたのレイチェルを私なんかと比べたら不愉快よね」
 などと卑屈な嫌味を言ってしまったのだ。
 どう考えてもセリスが悪いのは、自分でもわかっていた。しかし謝りたいと思いながらも、今日一日、ロックは不機嫌極まりなかった。
 とても話しかけられる雰囲気ではなく、結局夜になってしまった。
「んもう、セリスってばいい加減元気出しなよ。明日、チョコあげて一緒に謝ればいいじゃん!」
 リルムが明るく言っても、
「でも……きっと受け取ってもらえないわ」
 セリスはシュンと項垂れたまま。
「ちゃんと謝れば許してくれるって! せかっく練習してきたんだし、つきあってくれたライータさんにも悪いじゃん!」
 自分より8つも年下の少女に説教され、セリスは身体を起こした。
「うん……そうだよね。明日、謝らないとずっとこのままになるかもしれない。そんなの嫌だもの!」
 やっとポジティブに戻ったセリスは、
「予定通り、今夜のうちにケーキ作らないと!」
 自分を励ますように言って、部屋を出た。

 

†  †  †

 

 昨晩、遅くまで頑張ったせいで、14日の朝は寝坊しそうになってしまった。しかしそれでは昨夜も監督してくれたライータに申し訳が立たない。眠い瞼をこすりながらなんとか布団を出て仕度をすると、朝の仕度を手伝う。
 今日になるとロックの機嫌も多少おさまっていた。セリスにも「おはよう」と言ってくれた。しかし逆にどうでもよさそうな投げやりな態度になっている。
 今日は学校修繕の仕上げで、遅くまでかかるかもしれない。ケーキをあげるのは夕食後にするつもりだった。
 いつもと同じく片付けを手伝って学校へ行くと、今日もロックとセッツァーは木陰で煙草と葉巻をふかしていた。しかし、昨日までと違うことが一つ。
 ロックの周囲にいた何人もの女の子がアンネ一人だけだ。バレンタインデーなのに?
 今日はいつも以上に気になったが、できるだけ視界に入らないようにする。しばらくすると、
「ビミョーなもん見ちまった」
 ボヤきながら戻ってきたセッツァーに、マッシュが不思議そうにする。
「なんだ?」
「ロックの奴、チョコ受け取らなかったんだよ。女は“受け取るだけでいいんです!”って食い下がってたけどな。相手の気持ちを受け止めた上で断るってタイプかと思ったのに」
「へ、へえ……」
 セリスはめっさ複雑そうな顔だ。セッツァーはニヤニヤとして、
「早く仲直りしろよ。機嫌が悪くなきゃ受け取ったかもしんねーのに」
 セリスに言う。セリスは恥ずかしそうに俯いて、
「わかってるけど……だって未だにレイチェルに拘っているんだもの」
 セッツァーは喧嘩したその場を見ていたから、小声でだが正直に言った。
「別に全然拘っちゃいねーと思うぞ。ただ……俺だって好きな女にダリルのこと言われんのは嫌だな。俺じゃなくて女が拘ってる気がしてさ」
「………………」
 確かにその通りかもしれない。拘っているのはセリスだ。
「でも、別にロックは……」
 私のことを好きなわけじゃ……そう続けたかったが恥ずかしくて口ごもる。
「心配すんな! 気付いてねーのはお前達だけだ。大丈夫だって」
 セッツァーに背中を押されてしまうと彼に答えられなかった分も頑張らなければと思う。
「ま、奴にあきたら俺んとこ来い」
 冗談なのか本気なのか、そう言って大声で笑うセッツァーにセリスは困ったようにはにかんだ。

 

†  †  †

 

 昼休みにはキキが、3時の休憩にも別の少女が一人ずつロックにチョコをあげにやってきた。多分、話し合って一人ずつ行こうとなったのだろう。順番はジャンケンかなんかで決めたに違いない。
 予想通り夕方になっても終わらず金髪の少女がチョコレートを持ってきたがロックはやはり受け取らなかった。
 修繕が完了したのは午後8時で、
「さすがに疲れたでござるな」
「ガウ~! ごはん~」
 一行は、先に帰ったリルムとライータの待つ宿屋へ戻る。
 順番に風呂に入り、ゆっくりとした時間を過ごす。学校の修繕が終わったことで、アルブルグを後にする日も近い。
 ライータは7人のために豪華な夕食を用意してくれていた。全員が風呂を終えると、揃って夕食を食べる。
「やっと、終わったな」
「まあ、応急処置って感じで、修繕の後が丸見えだけどな、機能に問題はないだろう」
 達成感に浸る仲間だが、ロックは曖昧な返事をするだけ。セリスも緊張のため自然口数が減る。
 食事が終わって、
「じゃ、また明日」
 ぞろぞろと飛空艇へ帰って行こうとする仲間が宿を出ると、セリスはケーキを詰めた箱を紙袋に下げ追うように宿を後にした。
 ところが……マッシュ、カイエン、セッツァー、ガウは道を歩いているのに、ロックの姿が見えない。
「あれ?」
 不思議に思うと、すぐ横の路地から声が聞こえてきた。
「受け取ってももらえないなんて、やっぱり納得いきません」
 キキの声だということに気付き、そっと覗く。ロックは4人の少女に取り囲まれていた。
「お願いです。答えてもらえるとはもう思ってません」
 必死な少女達の言葉も甲斐なく、ロックはあからさまに不快そうな表情をしていた。
 セリスはまるで自分のことのように、胸がギュッと締め付けられた。
「いや、本当に悪いけど……」
 不快だとしてもできるだけ少女達を傷付けないよう言葉を選んでいるらしかった。
「なんでですか?」
「せめて理由ぐらい教えてください」
 引き下がらない少女達はひたむきだ。あの情熱が羨ましいとセリスは思う。
「…………うまく説明できねえ。ただ、答えられないなら受け取ることも不誠実みたいだから」
 きっぱりと答えたロックに、アンネが涙を溢れさせる。感染するようにキキや残りの二人も。
「わかりました……」
「しつこく言ってすみませんでした!」
 少女達はバタバタと駆け出した。セリスは慌てて身体を引っ込める。
 涙を拭いながら去っていく少女達を見送ると、路地から出てこないロックを不思議に思って顔を出した。
 ロックは不本意そうな顔でムスッとしたまま立ち尽くしている。自分もあんな風にすげなく断れるのかもしれない───そう考えると、今すぐ逃げ出してしまいたくなる。だがそれでも今しかチャンスはないと、セリスは声をかけた。
「あの……ロック……」
「おわっ、い、いたのか……」
 驚いて頭をかくロックは、戸惑ったように俯く。
「この間は……」
 ごめんなさい、そう続けようとしたのだが、ロックの声に遮られた。
「参っちゃうよな。なんで俺なんだ? 悪いけど、とても本気にはとれないんだよな」
「………………そんなこと……」
 キキやアンネだって、それなりに本気だったはずだ。恋に恋する年頃であるとしても、その時の気持ちは精一杯なはず。
「忘れてたけど、こっちのバレンタインって女がチョコあげんだったか。下らねえよな」
 何気ない一言に、セリスの心臓が跳ね上がる。下らない……?
「イベントがねーと告白できねーなんて、おかしいだろ? しかもみんな揃って」
「………………」
 セリスの顔色が翳ったことにも、目を逸らしているロックは気付かない。
「本気だったらお祭りに乗じてなんて、ありえねえよ」
 自分の気持ちを全て否定されたようで、セリスは涙を溢れさせた。
「なにそれ!」
 突然の怒鳴り声に、ロックがびっくりしてセリスを見た。涙を堪えて自分を睨んでいる彼女に、唖然としている。
「本気かどうかなんて、そんなことで決めないでよ! 本気だから、きっかけでもないと恐くて言えないって、そういう気持ちとか、あなたにはわからないんでしょうね! 最低!」
 口早にまくし立てると、後ろ手に隠していた紙袋を思い切り投げ付けた。
「人を好きになる気持ちを下らないなんて、切り捨てられる人だなんて思わなかった!!」
 言い捨てると駆け出した。
「あっ、おい!」
 ロックは慌てて追いかけようとしたが、投げ付けられた袋に気付き拾い上げる。20㎝四方の箱が入っていた。変な重さに、ちらりと中を覗くと、潰れたチョコレートケーキらしきものが見える。
「……嘘だろ……」
 ロックは慌てて路地を飛び出した。しかしセリスの姿は既にない。
「あの、セリス戻りました?」
 流星宿の扉を開けて尋ねると、ライータは目を丸くして首を横に振る。
「くっそ。……ああ、あの、これ、ちょっと置いておいて下さい」
 紙袋をライータに渡し、再び走り出す。
「渡したみたいだけど……これって、潰れちゃってない?」
 ライータは不思議そうに首を傾げた。


 町中走り回ったが彼女の姿は見つからず、飛空艇にもいなかった。宿にも戻っていない。
 ロックは汗だくになってセリスを探したが、三日月である月明かりは薄く視界も悪い。それでも見つけないわけにはいかなかった。きっと泣いている。
 散々走り回って、もう酸欠で吐くかも知れないという頃、フと今日まで修繕していた学校が目に入った。ざっと眺めたが詳しく調べてはいない。
 肩で息をしながら敷地に入る。よろよろとセリスの姿を探していると、学校の裏側にある木立の合間に人影を見つけた。しゃがみ込む少女は、セリスだ。
「セリス!」
 名前を呼びながら駆け寄ると、ビクッと顔を上げた彼女は慌てて逃げ出そうとする。
「待て! 頼むから、話を聞いてくれ」
 校舎の脇で彼女を捕まえることに成功したロックは、しっかりとその腕を掴んで懇願する。片手は膝に置いて酸素を求めて暫く言葉が出なかった。
 セリスは俯いて空いている手で顔を覆っている。
「……さっきのは、本気じゃないぞ」
 まだ呼吸が苦しいが、何か言わねばとロックは言葉を絞り出した。
「もらえなくたって気にしないように見えるかもしれねーけど、好きな女が近くにいればやっぱ別なんだよ。お前にもらえるわけねーだろうから……お前、ああいうの下らねーって思ってるかもしれないかと思って、それなのに俺が気にしてたら悔しいだろ? 悪い。単なる俺の強がりだ。本音じゃない」
 嗚咽は止まっているようだが、肩を震わしている彼女は答えない。
「聞いてるか?」
「………………嘘」
「は?」
「仲間だからって気を使わなくてもいいわよ。フラれたって気まずくなんてならないようにするし……」
「つーか、聞いてねーだろう?」
 大きく溜息をついたロックは、掴んでいた彼女の腕を引いて有無を言わさず抱きしめた。驚いたセリスは硬直して小さくなる。
「気なんかつかってねえ! だから嘘じゃなくって、あんまし言いたくねえけど俺が勝手に見栄はったのが悪いんだ。勝手にフラれたことにすんなよ。俺もちゃんと言うつもりだったんだ」
「……なにが?」
 セリスの口調が少しだけ柔らかくなる。
「ここ発つ前に、お前に好きだって伝えるつもりだったんだ。俺は、一応前に言ってるし……言うタイミングが掴めなかったんだけどな」
 セリスの耳が赤くなっている。多分、顔も赤いだろう。照れているのを隠すように、呆れた声で言う。
「前にって、まさかオペラ座のこと? あなた、レイチェルさんの代わりかって質問に、答えなかった時」
「……代わりじゃねーよ。あの時だって代わりだったわけじゃない。ただ、あの後悔にケリつけられてなかったから、答えられなかっただけだ」
「本当?」
 窺うように抱きしめられた隙間からロックの顔を見たセリスは、拗ねたような可愛らしい表情をしていた。
「本当! お前が好きだよ。多分、お前を助けたあの時から」
 今までのどんな時よりも優しい表情で告げたロックは、彼女を抱きしめていた腕を緩めそっと頬に触れた。親指で頬を湿らしている涙を撫でるように拭う。
 どちらからともなく重ねた唇は一瞬だけ切ない涙の味がしたけれど、深く交わされる口づけに消えていった。
「ケーキ、潰れちゃったね」
 しょぼんと呟いたセリスに、ロックは苦笑いで頭を撫でる。
「いいよ。潰れたって箱に入ってんだし。食えるから」
「えっ、食べるの!?」
「せっかくお前が俺だけのために作ってくれたんだから、食うよ。一人で」
 満面の笑みで言われ、セリスは恥ずかしいやら嬉しいやら。投げ付けたことを心底後悔していた。だが潰れたケーキが元に戻ることはない。後悔しても始まらないからと、ロックの手を両手で掴み、可愛らしい声で言った。
「来年からは、ちゃんとしたの作るから。潰れてないの食べてね♥」

 

・ fin ・

 

■あとがき■

 これにて完結となりました。なかなかコンパクトにできたと思ってます。ラストは決めていて、ケーキを投げ付けたかったの。えへ。もしかしたらeveさんが望んでいたものと、もしかしたら違っちゃってるかも(他の女の子に邪魔されるってのが、悪意的な邪魔にはなってないし)。許してください。一応、色々考えてこうしました。よかったら、受け取ってくださいね。返品不可です^^;
 南半球は真夏のバレンタインですね。桜は専門学校の時オーストラリアに行きました。クリスマスシーズンでしたが、クリスマスって感じしないのね。微妙に寒かったです。特にタスマニアは。
 頑張ったセリスちゃんだけど、何故か空回り? すれ違ってしまいます。普通にラブラブで終わるのも考えたけど、ちょっと物足りないかと思って、この方がハッピーエンド感も出るでしょ? ラブラブ度もアップ。盛り上がって……この先はどうぞご想像下さい。 (04.2.29)

【この頁で使用させて頂いた素材サイト様】 ClipArt:Silverry moon light, Heart:WhiteBoard

Original Characters

ライータ アルブルグ出身。「流星宿」を切り盛りする美人未亡人。
キキ アルブルグ出身。ロックのファンの少女。赤毛で甲高い声をしている。
アンネ アルブルグ出身。ロックのファンの少女。キキの友達。